お風呂・浴室の原状回復工事とは?費用相場と貸主・借主の負担範囲を解説

お風呂・浴室の原状回復工事とは?費用相場と貸主・借主の負担範囲を解説

退去後の浴室整備は、まずクリーニングで回復できる状態か、補修・交換が必要な状態かを見極めることが重要です。軽い水垢・石けんカス・表面のカビであれば浴室クリーニングで対応できることが多く、費用目安は11,000円〜25,000円程度です。一方、浴槽のひび割れ、深く浸透したカビ、壁・床材の劣化、設備の破損がある場合は、補修や交換が必要になることがあります。

この記事は、賃貸物件オーナー・管理会社の方に向けて、退去後のお風呂・バスルームの原状回復工事の内容、費用相場、確認すべきポイントを解説します。

まず確認したいポイント:

  • 通常の浴室クリーニングで落ちる汚れか
  • カビや水垢が、清掃不足によって拡大したものか
  • 浴槽・壁・床・天井に破損や劣化があるか
  • 交換が必要な場合、貸主負担か借主負担かを契約書とガイドラインで確認したか
  • 工事前後の写真を残し、複数業者から見積もりを取ったか

退去を控えた借主の方へ:退去時の費用負担が気になる方は、「原状回復をめぐるトラブルを防ぐために」のセクションをご参照ください。入居時・退去時の写真、契約書、見積書を確認しておくと、負担範囲を整理しやすくなります。

お風呂・バスルームの原状回復工事が必要になる理由

浴室は毎日使用する場所で、湿気がこもりやすく、カビ・水垢・石けんカス・皮脂汚れが蓄積しやすい空間です。汚れや臭いが残ったままだと、内見時の印象が下がり、次の入居者が決まりにくくなることがあります。

ただし、すべての汚れや劣化を借主負担にできるわけではありません。通常の使用による経年劣化や通常損耗は、原則として貸主側の負担と考えられます。一方、清掃・手入れを怠ったことでカビや水垢が拡大した場合や、故意・過失による破損がある場合は、借主負担が検討されることがあります。

お風呂・バスルームの原状回復工事の内容

浴室の原状回復工事は、汚れの程度、設備の劣化状況、契約内容によって変わります。主な作業内容は以下のとおりです。

1. 浴室クリーニング

浴室全体を清掃し、カビ、水垢、石けんカス、皮脂汚れ、排水口のぬめりなどを除去します。標準的な浴室クリーニングの作業時間は、2〜3時間程度が目安です。エプロン内部清掃、浴室乾燥機の分解洗浄、追い焚き配管洗浄などのオプションを含む場合は、3〜4時間以上かかることもあります。

  • 浴槽の清掃:水垢、湯垢、ぬめりなどを除去します。
  • 壁・床・天井の清掃:カビ、水垢、石けんカスなどを落とします。
  • 排水口の清掃:髪の毛、ぬめり、ゴミを除去します。
  • 換気扇の清掃:ホコリや表面汚れを取り除きます。内部洗浄は別料金になることがあります。
  • 鏡の清掃:水垢やウロコ汚れを除去します。
  • 水栓金具の清掃:蛇口やシャワーまわりの水垢を落とします。

ポイント:表面の汚れであればクリーニングで改善できることがありますが、素材に染み込んだカビ、変色、ひび割れ、劣化による破損は、補修や交換が必要になる場合があります。

2. 浴槽の補修・塗装・交換

浴槽にひび割れ、欠け、変色、落ちない汚れがある場合は、状態に応じて補修・塗装・交換を検討します。

  • 浴槽の補修:軽微なひび割れや傷は、専用の補修剤で対応できる場合があります。
  • 浴槽の塗装:表面の劣化や変色が目立つ場合、浴槽塗装で見た目を改善できることがあります。
  • 浴槽の交換:破損が大きい場合、水漏れのおそれがある場合、劣化が進んでいる場合は交換を検討します。

3. 壁・床・天井の補修・交換

浴室の壁・床・天井は、素材や浴室の構造によって補修方法が異なります。ユニットバスの場合はパネル補修や部品交換、在来浴室の場合はタイル補修・シート施工・塗装などが選択肢になります。

  • 壁の補修:カビ除去、パネル補修、シート施工、塗装などを行います。
  • 床の補修:タイル補修、浴室床シート施工、滑りにくい床材への交換などを行います。
  • 天井の補修:カビ除去、塗装、パネル補修などを行います。

4. 排水管・追い焚き配管の清掃

排水管や追い焚き配管に汚れが蓄積していると、悪臭やぬめりの原因になることがあります。入居前の印象を整えるため、必要に応じて配管洗浄も検討します。

  • 排水管の洗浄:ぬめりや詰まりを除去し、悪臭を防ぎます。
  • 追い焚き配管の洗浄:配管内部の汚れを洗浄し、浴槽内への汚れ戻りを抑えます。
  • 薬剤洗浄:専用薬剤で汚れを分解する方法です。
  • 高圧洗浄:状態によっては高圧水流で管内の汚れを洗い流します。

お風呂・バスルームの原状回復工事の費用相場

浴室の原状回復工事は、クリーニングだけで済む場合と、補修・交換が必要な場合で費用が大きく変わります。以下は2026年6月確認時点の一般的な目安です。地域、浴室の広さ、汚れの程度、素材、施工範囲によって変動するため、実際の金額は現地見積もりで確認してください。

工事内容費用相場確認ポイント
浴室クリーニング11,000円~25,000円程度エプロン内部、換気扇分解、鏡のウロコ取りは別料金になることがあります。
浴槽補修・浴槽塗装3万円~18万円程度傷の深さ、ひび割れ、水漏れの有無で変わります。
浴槽交換(FRP浴槽など)10万円~55万円程度本体価格、撤去費、設置費、給排水工事の有無で変わります。
浴槽交換(ホーロー浴槽など)15万円~100万円程度重量があるため、設置条件や搬入経路の確認が必要です。
浴槽交換(人工大理石など)30万円~120万円程度商品グレードにより価格差が大きくなります。
壁・床・天井の補修3万円~30万円程度パネル補修、タイル補修、シート施工、塗装などで費用が変わります。
排水管・追い焚き配管清掃1万円~3万円程度排水管洗浄、風呂釜洗浄、追い焚き配管洗浄で作業内容が異なります。

ポイント:浴室は見た目だけでなく、防水・排水・換気の状態も重要です。クリーニングで済むか、補修・交換が必要かは、写真だけでは判断しにくいこともあるため、現地確認と複数見積もりをおすすめします。

原状回復工事の流れ

オーナー・管理会社が退去後の浴室原状回復を進める場合、一般的には以下の流れで確認します。

  1. 退去予定日の確認:退去日と立会い日を確認し、室内確認の準備をします。
  2. 退去立会い:浴室のカビ、水垢、破損、設備不良、臭いなどを確認します。
  3. 写真・動画の記録:浴槽、壁、床、天井、排水口、換気扇、水栓まわりを記録します。
  4. 負担区分の確認:通常損耗・経年劣化か、清掃不足・故意過失による損耗かを整理します。
  5. 見積もり取得:必要に応じて複数業者から見積もりを取り、作業内容と金額を比較します。
  6. 工事実施:クリーニング、補修、交換など必要な作業を行います。
  7. 完了確認:仕上がり、臭い、排水、換気、設備の動作を確認します。

原状回復をめぐるトラブルを防ぐために

原状回復では、貸主と借主の費用負担をめぐってトラブルになることがあります。浴室はカビや水垢が発生しやすいため、通常使用の範囲なのか、清掃・手入れ不足による汚損なのかを分けて確認することが大切です。

  • 入居時の状態を記録しておく:入居時・退去時の写真や動画があると、汚れや破損の発生時期を確認しやすくなります。
  • 契約書と特約を確認する:原状回復に関する特約がある場合は、内容を確認します。ただし、特約があっても常にすべて有効とは限りません。
  • 通常損耗と故意過失を分ける:通常使用による劣化は貸主負担が原則ですが、清掃不足でカビや水垢が拡大した場合は借主負担が検討されることがあります。
  • 国土交通省のガイドラインを参考にする:国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、原状回復の基本的な考え方や具体例が掲載されています。

お風呂・バスルームの原状回復工事の注意点

  • 経年劣化と通常損耗:経年劣化や通常使用による損耗は、原則として貸主負担と考えられます。原状回復は「入居時とまったく同じ新品状態に戻すこと」ではありません。
  • 清掃不足によるカビ・水垢:浴室はカビや水垢が発生しやすい場所ですが、日常的な清掃や換気を怠った結果として汚損が拡大した場合は、借主負担が検討されることがあります。
  • 破損やひび割れ:浴槽に硬いものを落として割れた、壁パネルを破損したなど、故意・過失による破損は借主負担になる可能性があります。
  • 浴槽・ユニットバスの経過年数:原状回復費用の負担割合を考える際、ユニットバスや浴槽は当該建物の耐用年数が適用されるものとして整理されています。実際の使用可能年数とは意味が異なるため、見積もり時は「交換費用全額を誰が負担するのか」ではなく、経過年数や損耗原因を含めて確認しましょう。
  • 業者選び:浴室は防水・換気・排水が関わるため、価格だけでなく、作業範囲、保証、追加費用、施工実績を確認して選びましょう。

まとめ

お風呂・バスルームの原状回復工事は、次の入居者を迎えるために欠かせない整備です。まずは浴室クリーニングで対応できるかを確認し、落としきれないカビ、ひび割れ、設備劣化、排水や換気の不具合がある場合に補修・交換を検討します。

費用は、浴室クリーニングなら11,000円〜25,000円程度が目安ですが、浴槽交換や壁・床・天井の補修が必要になると数十万円規模になることもあります。貸主・借主の負担区分は、通常損耗、経年劣化、清掃不足、故意・過失の有無によって変わります。

トラブルを防ぐためには、退去立会い時の写真記録、契約書の確認、国土交通省ガイドラインの参照、複数業者からの見積もり取得を行い、作業内容と費用負担を明確にしておきましょう。

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